「にじみ」

墨を磨ると、墨の粒子が水と混ざり合い、墨汁になります。この墨の粒子が、画仙紙の繊維の毛細隙間を水に乗って浸み込んで行くことで、にじみが生まれるのです。
磨った回数が少ない淡い墨汁は、墨の粒子の密度が低く、水に乗って自由に紙の繊維間を進んでいき、すばやくにじみます。
一方、回数を多く磨った濃い墨汁は、粒子の密度が高いために、粒子同士がくっつき合って固まりになり、なかなか自由に動き回れません。粒子の固まりは紙の繊維間まで浸透せず、表面に付着するため、にじみの少ない、濃い線になります。